緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)20

12.DTM 1993年 1.

 パソコンで音楽をやろうと思った。これまではシーケンサーという機器を使って、

シンセサイザーやドラムマシーンを自動演奏させていたが、写真等で見るプロの現場

には、必ずと言っていい程マックのコンピュータがあり、それを使い何やらやっている

らしいのだ。

 一方巷ではこれからはWindowsだと言う。せっかく高額な出費をして入手したもの

が、時代遅れの一台になってはたまらない。そうこう悩んでいるうちにVision

という元々マック用シーケンスソフトのWindows版が発売された。しかも日本語だとい

う。フロッピーディスク2枚で5万円近くするが、背に腹は代えられない。しかし支出

はこれだけでは済まなかった。先ずパソコンに通信回路を設ける為、ISAボードに差し

込み入出力するMIDIポートのインターフェースを認識させ、ジェネレーター(音源)

SC88を鳴らさなければならず、入力は多少キーボードが弾けるので既に持っている

DX7を使うこととした。

尚、入力はリアルタイムと、楽器が弾けなくてもステップの二種類が用意されている。

と、書いてしまえば簡単だが、ヤマハMSXやコモドールのMS・DOSを使ったこと

はあったが、本格的なパソコンを触るのも初めてだし、そもそもWindowsの知識は全く

なく、接続作業中はエラーの連続、意味不明な英語のメッセージは出るし、いつまで

たっても音は出ないし、周囲に同じ事をやっている者もいないので、殆ど情報も無い

まま、悪戦苦闘の末、約1か月半かけてようやく設定構築が完了。

 最初に自分が弾いたフレーズを、忠実に再現するのを聴いた時、不覚にも思わず涙ぐ

みそうになってしまった。<続>