緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)36

小休止(2) 新生老舗レストランを南青山に訪た <その5> そしてT氏はワインを一口飲み漸く口を開いた。「これ、味はいいんだけど、兎に角 強烈だ。」と理解不明な言葉を呟いた。私も早速残った一欠片を取り皿に乗せ、更に小 さくフォークで切って口に運んだ…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)35

小休止(2) 新生老舗レストランを南青山に訪た <その4> ところで我々には一つ気掛かりな点があった。それはかって種々便宜を図ってくれた 浅見さんの姿が見えない事だった。私は氏の風貌から随分高齢と思い込んでいたが、カ ナユニへの道すがらT氏から我々…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)34

小休止(2) 新生老舗レストランを南青山に訪た <その3> 「追伸。カナユニオーナーの息子さんマコトさんが南青山にカナユニをオープンさせ たそうです。」今年3月初旬、それを伝えたのは私の近況報告メールに対する、赤坂の 知人(以下、T氏という)からの…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)33

小休止(2) 新生老舗レストランを南青山に訪た <その2> 次に私が考えたのは、大学時代の同級生二人の事だった。我々三人は卒業後全く違う 業種に就職したが、親しく電話などで連絡を取り合い偶に会ったり、また年に一度、観 光&グルメ・ツアーを実施(都…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)32

小休止(2) 新生老舗レストランを南青山に訪た <その1> "此処は何処なのか。 キャンドルが揺れているからピアノが鳴って いるのだろう。 だがそれは現実の音ではないようだ。スペインか ポルトガルか…30年以前の昔だ。 夢に憑かれたように歩いたフランスの…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)31

小休止 言い訳 本日、Hatena Blog より「1年前の記事など昔書いたブログを振り返りませんか?」 とのメールあり、調べてみるとこのソメチメス・シリーズの5が公開された事が判っ た。以前よりブログ更新が滞っているのは気にはなっていたが、よしや趣味でや…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)30

18.干支に因み~「PEANUTS」の魅力(2) 「ピーナッツ」の作者はチャールズ・モンロー・シュルツ(1922ー2000)、そしてこの コミックの正式開始は1950年で、2000年作者の死去と共に終了した。詳細に 興味のある方はウィキペディア等を参照…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)29

18.干支に因み~「PEANUTS」の魅力(1) かなり遅ればせながら、謹賀新年。 早速だが、「ピーナッツ」と聞き、何を思い浮かべるだろうか。炒ったり茹でたり して、ビールのつまみに合う落花生のことだろうか。私がこれから書きたいのは、もし かしたらス…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)28

17.留萌の思い出 2017年もいよいよ年の瀬。今月に入って「この冬一番の寒さ」とメディアが報じ る日が続き、ここに来て強力な冬型の気圧配置、所謂「爆弾低気圧」が北日本から日本 海側を覆った。その中で留萌港の灯台が殆ど跡形もなく破壊されたニュ…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)27

16.日本の地方自治の性質 1975年 (2) 近代民主政治の先進国、イギリスやアメリカにおいて地方自治が発達し、日本では そうでない事は、歴史的な問題があると考えられる。これは前に「日本に於ける市民 形成の可能性について」で述べた事だが、日本の…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)26

16.日本の地方自治の性質 1975年 (1) イギリスの政治学者ブライスは「地方自治は民主主義の最良の学校である」と述べ た。これは地方の政治を理解しながら同時に国の政治を理解するきっかけを掴むこと が出来るという意味であるが、戦前の日本では…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)25

15.日本に於ける市民形成の可能性について 1975年 日本は明治維新により封建社会から近代社会への道を歩み始めた。そしてその後、 日本の資本主義的発展は、驚異的なスピードで進められてきたのだが、その背景には 農業と農村があった。何故なら日本…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)24

14.めもらんだむ 1978 2. 彼女の髪は相変わらず長かったし、肌は透き通るように白かった。そして微笑んだ 時の瞳も未だあどけないままだった。僕の記憶の中にある和子は、すべて美しく可愛い らしかった。 「おめでとう。」とひとこと言い僕は笑っ…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)23

14.めもらんだむ 1978 1. 僕は今日も学校に行かなかった。所謂自主休講である。昼近くまで寝ていたのを、 間違い電話で起こされて、することも無く一人ビールを飲んで煙草を吸った。少量の アルコールは、しかし僕を少し酔わせて、意味を成さない幾…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)22

13.愛すべき女学生達 理由も無いのに立ち止まって、何故だろうなんて考える年頃の彼女達は、きっと僕 の心の中など判りはしないだろうが、でも、その実、何もかも見通しているようで、 時々ハッとさせられるのである。とにかく彼女達は新鮮で、愛らしくて…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)21

12.DTM 1993年 2. DTMはデスクトップミュージックの略である。文字通り机上でデータさえ打ち込め ば、ソロピアノからバンド演奏、果てはオーケストラまで録音・再生が機械で出来てし まうのである。しかも打ち込んだデータは変更可能で、メロ…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)20

12.DTM 1993年 1. パソコンで音楽をやろうと思った。これまではシーケンサーという機器を使って、 シンセサイザーやドラムマシーンを自動演奏させていたが、写真等で見るプロの現場 には、必ずと言っていい程マックのコンピュータがあり、それを…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)19

11.中国1996年(南京、武漢、上海)3. 上海空港から市内へバスで移動中、建設ラッシュの街並み指しながらのガイド氏は、 「中国では高速道路や地下鉄建設に際し、そこに住む者には別の地区に新しい住宅を 用意する。従って移転問題は全く発生せず、…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)18

11.中国1996年(南京、武漢、上海)2. 今回訪問した各港湾局や公司では皆が、将来、上海を商業の中心とすることは、国の 政策であると異口同音に唱え、今後日本からの合弁の申し入れを期待するといった意味 の言葉を何度も聞いた。そして上海では更…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)17

11.中国1996年(南京、武漢、上海)1. 宮本輝著「血脈の火」には、戦後間もない大阪中之島の情景=焼玉エンジンのポン ポン船が、石炭や生活物資を積んで川を行き来する様=が描写されている。そのイメー ジを容易に思い浮かべることが出来るように…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)16

10.韓国1995年(釜山、慶州、ソウル)4. 5. ヒロインはショートの茶髪 その国の文化を知るひとつの方法は、地元のテレビ番組を見ることである。という訳 で、夕食後はホテルの部屋で一人テレビを見て過ごした。5局程の国内放送の他、CN NとNH…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)15

10.韓国1995年(釜山、慶州、ソウル)3. 3. 冷たい?店員 研修旅行中の食事は幾分キムチの臭いに閉口したものの、基本的には何でも食べられ る体質が幸いし事なきを得た。ただ気になったのはレストランの店員がどうも冷淡と いうか、所謂愛想が無い…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)14

10.韓国1995年(釜山、慶州、ソウル)2. 2. Sleepless night on Camellia 船での渡航という言葉には、何かしらロマンチックな響きがあるが、別にタキシード 持参、豪華客船の旅という訳でもなく、ましてや数時間の航海である。そして乗船した 途端…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)13

10.韓国1995年(釜山、慶州、ソウル)1. 確かに「百聞は一見に如かず」の言葉の通り、現地に赴き、その国の空気を体感 することは、何にもまして得難い経験である。以下はある研修に参加し、初めて 韓国へ行った取り留めのない雑感である。 1. 韓国…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)12

9.『テグジュペリとリヴィエール』2. 彼らの結びつきは彼らの職業の中にある。ここにリヴェールが唯、独りよがりで危険 を犯しているのではないことが言える。部下一人一人を知り、完全に彼らを使いこなす 支配人、「彼リヴェールを非難するであろう彼ら…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)11

9.『テグジュペリとリヴィエール』1. アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリは、先ず職業飛行家であり、そして作家 である。その事実を抜きにして、彼の文学を考える事は出来ない。彼は自分の職業 を通して多くの事を語っているが、この彼にとって二作目…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)10

8.めもらんだむ 3. 彼女からの手紙を前にして、何故今頃になって彼女が手紙を書いた理由の様々な可能 性を、僕は考えた。結婚を控えたマレッジブルーから不治の病の発症まで、要因は幾ら でもあった。唯、確かな事は彼女が今、僕を必要としている事だと…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)9

8.めもらんだむ 2. バスは各駅停車だった。だらだら坂を登って行き、もうじき駒沢という時、僕と彼女 は殆ど同時に、「あの・・・。」と言いい、僕は彼女にその先を譲った。彼女は少し恥 ずかし気に、しかしはっきりと「駒沢に美味しいあんみつ屋さんが…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)8

8.めもらんだむ 1. その日、僕は一通の手紙を受け取った。差出人の署名は無かったが、その筆跡に僕は 誰からの物であるか了解した。-今更手紙なんてーしかし、僕は長い間それを、待って いたような気がした。 あれは何時の事だったろう。高校を卒業して…

緒永廣康 「ソメチメス」(sometimes)7

7.日記(1974年1月10日) ソッピーズ・キャメル 寂しい正月は終わった。夢を乗せて走った去年の日々を、最後まで信じていた愛を、 忘れる事は出来ないだろうが、この切ない想いよりなお、明日は哀しみを忍ばせながら 僕を染め変えて行く。 「今」という時…